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【議会質問】和田中「夜間塾」問題について

杉並区議会1月議会一般質問杉並わくわく会議・松尾ゆりは2月20日、杉並区議会で一般質問に立ちました。持ち時間の全部を和田中「夜間塾」問題に絞り、杉並区の無責任なやりかたを問いただしました。議会での質問を紹介します。これは草稿で実際の発言とは一部異なる部分がありますのでご了承下さい。


●はじめに

【議会質問】和田中「夜間塾」問題について杉並わくわく会議・松尾ゆりです。杉並区立和田中学校「夜間塾」問題について質問します。今回の一般質問では、和田中の夜間塾問題の1項目に質問を絞りました。

この問題に絞って質問する理由は、和田中夜間塾の問題に、現在の杉並区政の抱える広範な問題が非常にわかりやすく集約されていると考えるからです。

考えなくてはならない問題が大きく2つあります。

ひとつは、区の教育改革が招いた混乱が、来るところまで来たということ。学校希望制を中心として、学校を競争にあおり立ててきた教育行政のあり方を立ち止まって検証するべき時期が来たのではないでしょうか。

もうひとつは、教育委員会のみならず、区のいわゆる「民間との協働」のありかたが問われているということ。いいかえれば、協働の名のもとに行われる事業がいったい誰の利益なのか。区民の利益なのか、はたまた企業の利益なのか、という問題です。

山田区政10年目にさしかかろうとする今日、行政改革最優先、競争原理、官から民へなどの掛け声が、いかに区政を荒廃させてきたかを考える上でも、注目すべき問題であると思います。

●「エコリ」が休刊に

昨年第4回定例会で、私はサンケイリビング社のフリーペーパー「エコリ」を小学校を通じて配布することは、特定の企業に対する不当な優遇であり、やめるべきだという主旨の質問をしました

教育委員会の答弁は「民間との協働として意義があるので中止は考えない」というものでした。ところが、つい最近、エコリは休刊が決まりました。現在配布しているのは杉並区を含め3区ですが、いったん配布を始めた後に区議会の反対でやめた世田谷区を含め20区では、「エコリ」は採用しませんでした。学校を利用するビジネスモデルは受け入れられず休刊においこまれたのです。まさに、「民間との協働」が問われた問題であり、この点で節度ある判断を示した20区に対して、杉並区は立ち遅れたといえます。

さて、そこで今度は、夜間塾の問題です。これをどう受け止めるかは、大げさでなく、区政にとって、教育改革にとって、重大な岐路になります。
 
●他区と比べ特異な夜間塾

和田中夜間塾問題ご承知のように、1月初め、都教委から「夜間塾は中止するように」との指導が入りました。なぜなら、すでに学校教育に塾を導入している他区の例と比べてみても、今回の和田中の例は非常に特異なものだったからです。

今回のことがおきて、私は学校で塾と提携している他区の先行事例を調べてみました。具体的には、足立区、港区、江東区、千代田区に電話して聞いてみました。すると、今回の和田中の企画とは、明確に違ういくつかのポイントがありました。

まず第1に、なんといっても、学校教育の問題であるので、教育委員会の主導性のもとに、教育委員会と学校が責任をもって管理・監督しているということです。これに対し、今回杉並区では、学校長の発案に、教育委員会が振り回されています。全く主導性がなく、後追いになっています。

第2に、事業者の参入にあたって、公平を期して、入札、プロポーザルなどの手法が導入されていること。

第3に、子どもを学力や財力でふるいにかけることはせず、希望者全員が参加でき、原則無料であること。

第4に、塾はあくまで授業の補助や補習として、長期休暇に数日とか土曜日にかぎって利用するなど、和田中の夜間塾のプランと比較して、圧倒的に比重が軽いことです。

ちなみに和田中の夜間塾では、週9コマまたは12コマの授業が設定されており、教育課程の授業が基本週30時間であることに対し、3分の1あるいは半分近い割合になっています。なかでも受講生全員が受ける数学のコマ数は、夜間塾が週6コマ×45週で年間270コマに対し、授業中のコマ数は、週3コマ×35週で年間105コマですから、夜間塾に参加する生徒は学校の授業の2.5倍以上のコマ数をサピックスの授業を受けることになります。まったく主客が転倒しています。

【議会質問】和田中「夜間塾」問題について以上のように、他区の事例と和田中「夜間塾」は際だった違いをみせています。都教委が学校教育として許容しなかったのは当然のことと思われます。

それに対し、杉並区教育委員会は、実態はなんら変えることなく、解釈だけを変え、強引に「地域本部が主催する学校教育外の活動」と位置づけて無理矢理実行可能としました。

率直にいって、こんなのは言い逃れでありスリカエだということは、誰もがわかっていることです。とはいえ、今の教育委員会の建前はそこにありますから、少し丁寧に検討してみます。

●学校支援本部とは?

まず、学校支援本部について伺います。

学校関係者でも、「学校支援本部」とは耳慣れない言葉だったのではないかと思います。まして、大多数の区民の皆さんにはこれまで聞いたことのない言葉だったはずです。そこで、学校支援本部の位置づけと役割についてうかがいます。

学校支援本部とは何でしょうか。またその位置づけ、使命とは何でしょうか? 教育委員会としての定義をお示しください。

「学校支援本部支援要綱」というものがこのほどあわてて作られた(1/23付)のですが、ここには、「学校の教育活動のさらなる充実・発展を図るために、学校と地域社会の連携のもと、地域社会が学校を支援する新たな仕組み」と定義されています。また、昨年9月の区の「教育報」で、教育長は「学校の教育活動を支援する組織」と定義しています。

私の理解するところ、これらを見るかぎり、また、その名称からも明らかなように、学校支援本部とは「学校教育」を支援する仕組みです。どうみても、「学校教育外の活動」との定義にはムリがあります。

●学校支援本部はどこまで自由なのか

次に、学校支援本部に関するルールについて伺います。

和田中夜間塾問題学校支援本部は、学校とは別組織の任意団体だそうです。だから、学校がやってはいけないこと(たとえば、特定の企業と無競争で契約を結ぶ、あるいは、選抜した子どもだけを対象にお金をとって授業を行うなど)も学校の校舎を利用してかまわないというのが、今回の教育委員会の見解だと思いますが、学校支援本部とは、それほどまでに自由を与えられているのでしょうか。

今回のサピックスの事業についてみると、すでに文教委員会でも指摘のあったように、利益が出ないというのも怪しいのですが、仮に、百歩ゆずって、利益が出ないとしても、出ないから営利事業でないということにはなりません。

サピックス自身が、新聞雑誌の取材に対して「ここでは赤字だけれど、全体としてみればプラス」という発言をしています。少なくとも、マスコミに毎日とりあげられて話題になり名前が売れたこと、教材開発を学校の協力を得て行うこと、公立と連携する塾としての信用度などをお金に換算すれば、億単位の利益になっています。これらも織り込んでの営利企業としての純然たる企業活動であることは否定のしようがありません。

教育委員会の見解としても、今議会、他会派の質問に対する答弁で、次長は「地域本部は非営利」と言っていますが、サピックスの夜間塾自体が非営利とは言っていません。そりゃ、言えないですよね。しかしながら、主催は非営利の「地域本部」だから学校で行うことに問題はないという論法になっています。

これは大変まずいことです。

というのは、杉並区は今後、全小中学校に「学校支援本部」を設立すると計画しているわけで、今回のこれを認めてしまうと、今後すべての学校で、どんな営利事業が入り込んでこようが、支援本部がやっているならばOKということになってしまうのではありませんか。

そこでおたずねします。学校支援本部のやることであれば、それがたとえ企業による営利活動であっても許されるのかどうか、見解をおきかせください。

●学校支援本部に投入される公費

さて、それでは、この学校支援本部とお金の関係はどうなっているのでしょうか。

和田中夜間塾問題私の手元の資料によりますと18年度決算で、和田中の地域本部には400万円あまりの公費が投じられています。公費だけで、その金額です。このほかに、和田中地域本部の事業では、有名になった「ドテラ」や、英語Aコースといった補習事業の参加者から参加費を取っていますので、実際に地域本部に入ってくるお金は500万~600万というレベルだろうと思います。

さらに、このたびの夜間塾では、徴収する受講料、食事代が年総額500万近くになります。これらを合計すると総額は実に1千万円にも登ろうかという規模になります。

当然、地域本部の経理がどうなっているのか気になる所です。

できたてホヤホヤの学校支援本部支援要綱をみると、予算計画書、活動計画書というものを提出することになっています。そこで、和田中地域本部のものを頂いて、先日、拝見しました。ところがこの予算計画書は、支援本部の運営費として出された50万円についての計画だけで、それ以外の経費については書かれていませんでした。あと残りの900万ほどはノーチェックということです。

私はかつてPTAで「家庭学級」という事業に補助金をいただいたことがあります。年間3万円か4万円をいただくのに、何枚も書類を書き、その中には公金だけでなく、PTAからの支出、参加者からいただく参加費なども計上した上で、全体の収支の計画と決算、事業の報告書を提出しました。

面倒だけれども、これは公の補助金をいただく以上、当然の義務だと思ってきました。ところが、地域本部には区のチェックが入っていなかったということを知り、真から呆れました。あまりにもずさんではないでしょうか。

少なくとも、学校支援本部が学校から独立した自主的運営をする団体という認識であれば、事業全体の会計報告を提出させ、監査をするのは、教育委員会として、補助金を出している以上、最低限の仕事ではないかと思います。

今後は当然のこととして、これまでについても、創設以来の和田中地域本部とその他の学校の学校支援本部の財務報告をすべて提出させるよう納税者として要求します。この点について見解をうかがいます。

●営利禁止の明記を

ちなみに、来年度、文科省が学校支援本部事業を始めるというので、文科省にも問い合わせましたが、国の制度としては学校支援本部は、事務局と委員だけが有償ボランティアであとは無償。企業の参入など想定外とのことでした。

要するに、学校支援本部というのはあくまで学校教育の「お手伝い」であって、学校の事業の肩代わりを期待するのが間違っているんですね。1000万円を扱うような過重な事業をやらせてはならないんです。何でもOKではなく、一定の規制をもうけるべきです。各学校支援本部の規約には、最低限、営利は禁止と明記させるべきではないでしょうか。この点のお考えを伺います

●民間企業の参入に道を開く

さて、和田中の話にうつります。

和田中夜間塾問題和田中の藤原校長は、民間人校長として、他の学校とは違った活動をしてきました。その中には、功績も少なくないと思います。しかし、彼にはもうひとつの顔、つまり、民間企業の公立学校参入の道を開くという大きな役割があったのでした。

このたび、話題になるまで、私はうかつなことに知らなかったのですが、和田中の地域本部では、今回の夜間塾以前にも、すでに企業との連携による活動が導入されていたのでした。

たとえばこれも地域本部の主催になる「英語Aコース」では塾などから講師の派遣を受けています。横浜市のある会社はホームページ上で「杉並区立和田中学校での英語講座開講など、多方面に活動」と掲げています。

その他、和田中の学校運営協議会のホームページをみると、協力者としていくつもの民間企業の名前がならんでいます。これは、他の学校の運営協議会にはみられないことです。

他会派の質問にもありましたが、報道が過熱する中で、生徒の顔がはっきりわかる形でのTV報道がたびたびありました。なぜ、校長が子どもをメディアから守らないのか不思議に思っていましたが、和田中のHPをみると、この方の考え方の一端がわかります。藤原校長はこのように書いています。

「和田中では生徒・保護者を含めて教師も撮影時に肖像権の主張をご遠慮いただきます。テレビ・新聞をはじめとする取材はしょっちゅう。『学校を開く』政策によって外部のエネルギーをどこまで取り込むことができるのかのショールームなのです」(和田中の先生方に心得ておいていただきたいこと・校長藤原和博06-04


藤原校長にとって、和田中は自分の事業のショールーム、そして、そこに並んでいる子どもは、商品なのです。メディアスクラムが子どもに与える影響、そのことに対する教育的配慮はなく、実験的なショールームであることを優先しています。

夜間塾の企画も、その延長上にあります。

鳴り物入りで大手進学塾が学校に登場、成績のいい子だけを集めて、上位校狙いの講座を行うということの目的はどこにあるか。「○○高校何人合格!」という塾の広告、そして和田中の、というより藤原校長自身の宣伝のためといっていいでしょう。つまり、この講座に通う子どもたちは、「広告塔」になるわけです。

ショールームに広告塔。知らない間に公立学校が、こんなにもビジネスにとりこまれていたことに驚きます。

●教育委員会ぐるみで「学校の民営化」

杉並区議会1月議会一般質問ところで、こんなことになってしまったのは、何も藤原校長ひとりの責任ではありません。区役所、教育委員会ぐるみで、校長といっしょになって、いわば学校の民営化を進めてきたのです。

杉並区は2003年に学校希望制をとりいれ、学校どうしを競争させる方針をとってきました。しかし、それは公正な競争ではありませんでした。和田中の校長が発案することは、区は何でもOKで、すぐに予算がつく。それに対し、他校の校長がどんなに独創的な事業を計画しても、容易にお金がつかないという先生方の嘆きを私もいろいろときいたことがあります。

また、和田中だけが、立派な印刷のパンフレットをつくり、本来募集できないはずの、隣接学区よりももっと遠い地域から子どもを多数受け入れているという実態があります。

その結果、とりわけ隣接学区においては、子どもの人数が減り、学校の存亡にまでかかわる状況がつくりだされてきました。

この点については、隣接学区の松ノ木町会の町会長さんが、新聞の投書で「そもそも学区制を崩して、各校の生徒集めを戦争状態にした区の責任は重い」と指摘されています。特別なことはしなくても、地道に、基礎的学力をきちんとつけ、生活指導もちゃんとやっている立派な学校が、派手な宣伝をしないために、希望制の中で生徒数が減ってしまうような実態があることに、教育委員会は責任を感じなくてはなりません。

●和田中校長の後任人事は撤回を

和田中では校長の後任人事の決定経過も不透明です。学校運営協議会が後任を推薦した、といいますが、その運営協議会の会長はなぜか藤原校長本人です。お手盛り人事とはこのことです。このような人事を行う学校が出てくると、学校運営協議会にどういう権限を与えるか、慎重でなければならないとわかります。

学校運営協議会の委員自体がそもそも、選挙で選ばれるわけではありません。PTAや町会の役員、同窓会の役員ぐらいまではよいとして、学識経験者などという区民ですらない人たちが入っている学校もあります。杉並区に税金を払っていない人や、選ばれた根拠がよくわからない人が、公立学校の運営方針や人事について、意見をのべる程度ならともかく、決定権をもつということになると、問題ではないでしょうか。

委員の選抜方法を改善し、本来であれば、その学区の人たちの選挙など、開かれた方法に転換すべきです。すぐにはそれがムリでも、少なくとも、誰がその人を推挙したのか、どういう理由で認められたのかなど、透明化、公平化する必要があると思います。この点について見解をうかがいます。

また、このような不正常な状態できまった和田中校長の後任人事はいったん白紙にもどすべきです。だいたい公立学校にもかかわらず、1つの学校の校長が次も同じ会社から来た人というのでは、あらぬ疑いを招くもとでもあります。事業の継続といいますが、どの学校だって事業の継続はあります。それでも校長先生は交代していきます。それでなくても、藤原校長は、他校の校長よりも長い5年間をすでに務めています。

和田中が公立のモデルというならば、公務員の校長先生をつれてきて、事業を続けてもらえばよいだけです。それがなぜできないのでしょうか。来年度、和田中での民間人校長は中断するよう求めます。この点について見解をうかがいます。

●夜間塾の責任の所在は

和田中夜間塾問題次に、夜間塾そのものの問題についていくつかおたずねします。まず、責任の所在についてです。

杉並区教育委員会は、都教委の疑義に対して、内容は何ひとつ改善せずに、地域本部が行う「学校教育外」の活動だという言い逃れをしました。

これは、まるで、パチンコ屋と景品買いが別の店だから、パチンコはギャンブルではないと言っているようなものだと言った人がいました。例えはあまり良くないが、言い得て妙です。

地域本部の事務局長が、今回の夜間塾の責任者ということに形式上なっていますが、マスコミ取材をはじめ、あらゆる場面で、この夜間塾の主催者として現れるのは、校長です。地域本部の代表者は全く出てきません。

私も夜間塾の視察にいきましたが、アポイントから当日の約1時間半の説明まですべて、校長が行っていました。事務局長は現場にはいませんでした。発案者も校長です。どこからどう見ても、学校がやっている事業です。

仮に、この夜間塾で事故、事件、その他トラブルが起きて問題になったときに、ボランティアにすぎない事務局長を矢面に立たせるのでしょうか。とてもムリだと思います。

教育委員会は詭弁を弄するのではなく、パチンコはギャンブルだとはっきり言ったほうがいいんではないでしょうか。すなわち、今回の夜間塾の責任は地域本部ではなく、学校長および教育委員会にあり、ということは、都教委の疑義をいまだに晴らすことができていないことをはっきりと認めるべきだと思うのですが、いかがでしょうか。教育長の認識をうかがいます。

●サピックスは校長が指名

都教委の疑義の他にも問題はいくつもあります。

杉並区教育委員会は文教委員会の答弁のなかで「地域支援本部の役割として、校長の求めに応じて事業を行うこともある」として、今回のケースは、校長の発案ではあるが、それを地域本部に依頼して実施したものであるとの見方を示しました。

だとすると、校長は「サピックスの夜間塾をやりたい」と地域本部に依頼した、サピックスを指名したことになります。なぜなら、地域本部がこのプランを提示された時点で、すでにサピックスという特定の企業の名前が決まっていたからです。

もしそうならば、公立学校の校長が(リクルートの社員ならともかく)、入札も競争もなく、特定の企業を指名したことになりませんか。これは公職にあるものとしての倫理規範を逸脱していると思われますが、教育長の見解はいかがですか。

●ずさんな契約

和田中夜間塾問題地域本部が主催だというにしては、地域本部とサピックスの契約関係がきわめて不備だということです。私の手元に、両者がむすんだ覚書があります。だいたい、両者の肩書きが間違っています。文中では「地域支援本部夜スペ実行委員長」となっているのに捺印しているのは「地域本部事務局長」であり、他方「サピックス中学部代表者」とある人は「サピックス中高部代表」として捺印しているという、そもそも文書として効力のないものです。

なおかつ、契約書ではなく覚書という体裁をとっているために、正式な法人としての「サピエンス研究所」の社名もなければ、社長の名前もないというずさんなものです。

これではたとえば、途中でサピックスが一方的に撤退したいといっても、和田中サイドは引き留めたり、違約金を取ったりできません。その逆も同じです。

しかも、当初は1月9日から開講する予定だったのですから、こんな書類すらもなく実施しようとしていたわけです。

地域本部と学校の協定書1月21日、夜間塾実施要綱22日、学校支援本部支援要綱23日、サピックスとの覚書24日、そして夜間塾の開講が26日と、日付を見ただけで、本当に泥縄で作られたんだということがよくわかります。

いろいろと問題にされたから、しかたなく体裁を整えようとしたのでしょうが、夜間塾の構想にあわせてつくられた、これら、後付の書類が果たして効力をもつのでしょうか。

夜間塾実施要綱には次のような付則まであります。「この要綱が施行される前に行われた本事業に関連する手続き等は、本要綱に即して適正に行われたものとみなす」

この条項自体が、「実施要綱もないのに、話を進めていたのはまずかったなあ」と、自ら告白しているに等しいのではないでしょうか。

●著作権侵害問題

もうひとつ指摘しておきたいのはサピックスという会社に関わる問題です。

先日私はお手紙をいただきまして、それで知ったのですが、サピックスは現在、著作権侵害で訴えられて係争中になっています。

昨年9月と10月に、それぞれ、作家の方々57名、画家・イラストレーターの方々20名を原告として、サピックスの教室で使われている教材、通信教育の教材、また市販されている教材に、多数の著作物の無断使用があるとして、訴訟がおこされました。

原告には、著名な作家・画家の方々が多数含まれ、たとえば、杉並区にお住まいの詩人・谷川俊太郎さんも原告のおひとりです。

原告の方々の著作権管理を行っている法人から事情を聞いたところ、実は2003年ごろからサピックスの教材における著作権侵害が問題になり、サピックスと交渉していたそうです。ところが、その交渉の最中にもかかわらず、新たに無断使用の著作物を掲載した出版物を市販していたことがわかり、悪質だと判断して訴訟に踏み切ったということでした。

裁判ですので、裁判所の判断を待っているものではありますが、作家の方々に無断で著作物を使用したことはサピックス側も認めているており、著作権侵害は明白です。

●夜間塾の中止を求める

和田中夜間塾問題以上、問題点について指摘しました。とりわけ、最後にのべたサピックスという企業の倫理観の問題、また、地域本部のずさんな事務手続きからみて、この事業については、成立の要件を満たしていないと考えます。

この夜間塾事業については、遅くとも試行期間終了の3月時点までに中止するよう、教育委員会は和田中校長および地域本部事務局長に対して適切な指導を行うべきだと考えますが、教育長、その用意はおありでしょうか。

●教育委員会の猛省を促す

最後に申し上げたいことは、なんといっても、教育委員会の責任感の欠如という重大な問題であります。

他区の例を冒頭申し上げましたが、それぞれの教育委員会に熱い思いがあり、私はその意見に必ずしも賛同するところではありませんでしたが、少なくとも各教育委員会が、なんとか学力を向上させたいという熱意をもって、また計画をもって、主体的に塾との連携に取り組んだという点は、よくわかりました。

それに比べ、当区の教育委員会は、なんと主体性がないのでしょうか。「新聞辞令」という言葉がありますが、この企画について、教育委員会までもが新聞で知らされる始末。しかも、校長が企画した中身をそのままに追認し、都教委から問題点を指摘されても、何一つ改善させないどころか、後追いで「要綱」や契約書類をつくるなど、校長のルール違反の手助けをしてきました。

教育長は文教委員会で「杉並の教育改革は張り子の虎」と答弁しました。私はここで、教育委員会そのものが張り子の虎となり果てていると申し上げたい。形だけは権威を保っているが、中身は何もない。学校がルール違反を犯しても、それを指摘することすらできない。

今回の夜間塾の問題をめぐって、最悪なのは、サピックスでも校長でもない。見て見ぬふりをし、詭弁を弄して責任逃れをしようとしている教育委員会です。あなたがたは、あまりにも無責任です。

教育長はじめ教育委員会のみなさんの猛省を促したいと思います。最後にこの点について所見をうかがって私の一般質問をおわります。真摯な答弁を期待します。