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予算委員会での松尾ゆりの発言(意見開陳)
杉並区議会予算特別委員会での、杉並わくわく会議・松尾ゆりの意見開陳(議案 についての賛否意見発表)を紹介します。これは草稿で実際の発言とは一部異なる部分がありますのでご了承下さい。

●減税基金条例に反対する

松尾ゆりの杉並区議会報告 杉並わくわく会議として、2010年度予算案と関連議案について意見を述べます。まず、議案第4号 減税基金条例について述べます。

 減税自治体構想の根本的な間違い、あるいは、意図的なミスリードといってもいいでしょう、それは、なんといっても、家計や企業会計と、自治体会計を同一視してみせることによって、あたかも、経費を節約してため込むことが自然なことであるかのようにみせかけていることです。

 個人や私企業の努力による収入と住民から強制力をもって徴収する税を同列に論ずる区のPRは論外ですが、この他、住民税と財政単年度主義とのかかわり、23区財政調整とのかかわり、積み立てよりも行政サービスを充実すべき、さらには国債の安全性まで、さまざまな問題点が質疑の中で明らかにされてきたところであり、詳しくはくりかえしません。

 一方、質疑の中では、山田区長就任以来の功績をほめたたえ、基金設置に賛成する論調もありました。山田区長就任前の10年で、バラまき、ムダづかいにより、膨れ上がった借金が、山田区長の行革のおかげで解決したという意見です。前区長の時代にも与党として、そのバラまきを推進してきた立場の方からの意見であること自体、大変奇妙なことですし、昨年の決算特別委員会で、私が明らかにしたように、区債の償還が進んだのは、23区全体の傾向であり、認識自体が誤りです。東京一人勝ちの経済の中で、税収増の恩恵、都区財調交付金の急速な伸びの恩恵を受けたものであり、区が独力でこれらのことを成し遂げた、いわんや山田区長のおかげで、などということは全くお門違いです。言ってみれば、山田区長は運がよかった、いい時期に区長をやっていたということにすぎません。


●積み立ての利子はわずか。一般財源からの持ち出しに

 減税自治体構想がその主眼とする減税の実現可能性については、一般質問でも検討をしました。

 まず、10年後、10%の減税ですが、仮に毎年150億を順調に積み立てることができたとしても10年後には30億円弱の利子がつくにすぎず、10%減税の財源として必要な60億円の半分しかまかなえません。したがって、足りない30億円は、「基金の果実」だけではなく、一般会計を削って減税することになります。恒久的減税云々といいますが、名古屋市、半田市が今すぐやるといっている減税と結局同じことになります。

 第二に区長がいまだに著書などで宣伝している住民税ゼロの可能性についてです。
 途中での減税をせず、毎年150億円をひたすら貯めていっても、ゼロにするには、約100年かかります。また、途中で減税を行うことになると、私の試算では630年かかることがわかり、全く現実的ではありません。個々人がこのようなホラを信じるのは勝手ですが、しかし、行政として区民に負担を強いて行う政策にあたって、ホラ話を目標にしていくことはできません。

 第三に来年度予算案では、基金への積み立ては10億とのことです。一般会計は減収分を基金の大幅な取り崩しでまかなうことになっています。今後景気の先行きも不透明であり、このままいけば、2、3年先には否応なく区債の発行も視野に入ってくるものと思われます。区長が想定しているような、多額の余剰を積み立てられる可能性は、きわめて薄いと考えざるをえません。


●いっそうの職員削減、サービス削減を危惧する

 他方で、積み立てのためにこれまで以上の人員削減、サービスの削減が行われることが予測され、「負担あってサービスなし」の区政がますます進んでいくことになります。

 未来の世代に「正の遺産を残す」というフレーズが何度も出てきました。ついでに言うと、「正の遺産」というのはヘンな言葉で、単に遺産あるいは財産とでもいえばいいと思いますが、それはともかく、まさに負の遺産を残すのがこの減税自治体構想であり、減税基金条例に賛成することはできません。

 なお、昨日、減税基金条例についての修正案が委員会に提出されました。説明をうかがいましたが、原案に何の影響もなく、全くの茶番というか、アリバイ的な修正としかいいようがありません。

 修正案として麗々しく出すのであれば、もう少し中身のある修正をなさったらいいのではないでしょうか。無意味な修正ですので反対します。
 一般質問では、賛成派の議員の皆さんに対して、私は「王様は裸だ」との発言を期待するといいましたが、結局それがいえない人たちがこのような修正案を出したのだなと思い、大変失望いたしました。

 提案者の皆さんは、修正を施したうえで、基金条例に賛成をなさろうというわけですから、責任をもって減税自治体構想の実現をはかる、軽々しく中止などはしないという強い責任感、覚悟のあらわれとして受け止めさせていただきます。


●杉並区が自慢する「行政ランキング」、福祉・保育では…

松尾ゆりの杉並区議会報告 減税基金条例と修正案に対する意見を述べてきましたが、以下、予算案全般に対して意見をのべます。

 第一に、減税自治体構想に関連して、「経費削減だけでなく、同時にサービスの向上もやってきた」との区の主張について述べます。

 この主張には根拠がないことを質疑のなかで明らかにしてきました。区がサービス向上の根拠としてかかげる日経新聞社の「行政サービスランキング」では、行革ランキングでこそ、区は3位ですが、肝心の行政サービスのほうは08年度12位と前回の7位から大きく下げました。23区に限って順位を比較してみると、高齢者福祉では23区中19位、子育て支援では12位と全くふるいません。

 高齢者福祉に関しては、東京23区全体として成績の悪い分野であり、その中でも最低レベルとの評価は、区の言い分とは逆にこの分野のサービスが全国レベルで低い水準であることを示しています。

 特養の増設が急務です。同時に、居宅介護の充実を進めることが待ったなしで求められています。しかし、この間、山田区長のもとでは、これまで杉並区が築いてきた生活支援サービスや配食サービスなど独自の高齢者サービスは逆に大幅に削減されてきました。


●認可外保育が常態化、規制緩和は容認できない

 行政サービスランキングでは、保育についても他区と比較して評価は高くありません。理由は、認可保育園の定数が少ないことによります。

 「認証や保育室をふやして多様なニーズにこたえている」というのが区の言い分ですが、認可保育園が評価の基準になるのは当然のことです。なぜなら、児童福祉法は保育に欠ける児童を「保育所において保育しなければならない」と明確に定めています。「やむをえない事由があるとき」のみ、保育所以外の方法での保育が容認されるものであり、これはあくまでも例外なのです。

 この春の入園希望者のうち、認可保育園に入れる子どもは約6割にすぎず、4割の子は「やむをない事由」によって保育所入所がかなえられないことになります。法の規定と区の実態があまりにも乖離してしまっているため、異状が当たり前になってしまっているのかもしれませんが、地方にくらべ豊かな自治体である杉並区がこのような事態を放置していることは許されないことです。

 保育所最低基準の緩和について「多様なニーズにこたえるために」と歓迎するかのような答弁もありましたが、延長保育などは認可でも十分可能です。

 よく規制緩和によって自由競争が促され、質の向上が図られるとの論調がありますが、現状では、親は保育施設を選ぶどころか、入れるところならどこでもいい、という状況であり、より悪いものを選ぶ自由しかないのは選択の自由とはいえません。最低基準の緩和は子どもと保護者の利益には逆行するものです。杉並区は規制緩和に対する誤った認識を転換すべきです。

 高齢者福祉も保育も、区が自慢する行政ランキングにおいて、はしなくも、逆に弱点が露呈したことは、皮肉なことではありますが、これらこそ、山田区政の負の遺産であり、これから挽回していかなくてはなりません。


●賃金不払い事件の区民センターで引き続くトラブル

松尾ゆりの杉並区議会報告 第二に、地域経済と雇用、関連して区の行革・民営化の問題点について述べます。

 昨年秋、大きな社会的問題になった東宝クリーンサービス社の賃金未払い事件は職員の大幅削減・民営化推進による官製ワーキングプアの増加などさまざまな問題点を白日の下に曝しました。その後、委託業者が交代したにも関わらず、賃金についてのトラブルが続いていたことが判明しました。

 質疑の中で、あたかも職員の皆さんの書類提出の集中がトラブルを招いたかのような、責任転嫁の答弁がありました。賃金計算のあやまり、年休手続きの不備は職員側には全く責任はなく、全面的に委託事業者側の責任です。

 しかし、年度途中で突然業務を引き継いだ事業者側にも同情の余地があります。区が東宝事件の収拾を急いだあまり、事業者と職員の皆さんにしわよせが及んだのではないでしょうか。区には事業者に対する指導、監督責任とともに、業務遂行の条件整備の点でも責任が問われます。


●価格一辺倒でなく、労働者・事業者も守る入札を

 杉並区民センターの施設管理業務委託に関しては、委託初年度と比べ、委託料が約7割に下がっていることを質疑で明らかにしました。入札をくりかえすたびに、落札金額が下がり、事業者も職員の皆さんも働く条件がどんどん下がっています。

 効率的な財政運営は重要ですが、調達価格には安さ一辺倒ではなく、履行の水準、労働条件、賃金の水準、事業者の適正利益を守る観点が求められます。その点で杉並区の姿勢は価格面に偏っているといわなくてはなりません。区民センターのケースは一例にすぎません。

 調達価格、契約・入札方法の改善は、直接に地域の事業者を活性化し、地域経済と雇用をあたためることにつながる重要な政策です。区では委託事業のモニタリング強化を打ち出し、また、緊急経済対策の中での地元業者優先やダンピング対策などを行っており、これらについては評価するものですが、抜本的な対策としての公契約条例制定なども視野に入れる必要があると思います。


●「選ばなければ仕事はある」という驚くべき認識

 「産業振興計画」について、他の委員から質疑がありました。私も以前予算委員会でとりあげましたが、本来2007年に改定されていなくてはならない計画が、いまだに日程に上らない現状は、区が区内産業振興にいかに冷淡であるかの証左です。

 旧計画でめざしていた製造業800事業所どころか、放置している間に600所にまで減ってしまいました。杉並区内商店街は、たとえば区役所に近いパールセンターでさえも、貸し会場やチェーン店ばかりが目立つ惨憺たる状況です。区が手を拱いている間に区内産業は様変わりしてしまいました。これもまた、山田区政の大きな負の遺産といわなくてはなりません。

 さらに生活と雇用について述べます。

 雇用の収縮、失業率の高止まり、そして生活保護の受給者、受給希望者の急激な伸びに対して、福祉事務所職員の過重労働が問題になっています。法の定めた標準数の一人80ケースにするための職員配置とともに、福祉事務所で働く非常勤職員の待遇改善、雇用の継続が求められます。

 質疑の中では、区側から「選ばなければ仕事はある」という驚くべき答弁がありました。いまのハローワークの実態や区民の困窮など全くご存じない、また興味もないところから、こうした発言がぽろっと出るのだと思いますが、これでは、生活・雇用対策など浮かびようもないでしょう。

 緊急雇用創出事業が計上されていますが、本来の事業の趣旨にふさわしくない恒常的に行うべき事業までが盛り込まれている一方、雇用対策としての人数は全く不十分にとどまっています。


●和田中民間人校長、学校を私物化

松尾ゆりの杉並区議会報告第三に、教育について述べます。

 教育基本条例制定については、議会からの多数の反対の声を受けて断念されましたが、それにかわるものとして教育憲章制定が企図されています。

 憲章などなくとも、教育現場にはなんら不自由はなく、逆に制定したところでなんら益はありません。それどころか、教科書採択や師範館に示された山田区長のゆがんだ教育観が山田さんが去ったあとも区を縛る可能性があり、制定には反対です。

 質疑の中で、和田中の民間人校長や夜スペについて糾しました。

 公立校に民間人校長を登用することは他の自治体でも行われているところではありますが、和田中のように、8年にわたり2人の民間人校長がつづき、しかもその2人が同じ企業の先輩後輩などという事例はひとつもありません。特定の人物による公立学校の私物化といわれても反論できないのではないでしょうか。しかも、さらに任期を延長するかのような考えが示されたことは容認できません。


●8000円のテキストを私塾が校内で販売

 夜スペは3月から事業者がかわり、東進ハイスクールが担当することになりましたが、そのために使うインターネット回線を学校施設内に敷設したことが明らかになりました。

 学校教育法によれば、学校教育上支障のない場合においてのみ、学校施設の目的外使用は許されるものです。また、区が使用許可の根拠とした杉並区教育財産管理規則第16条第8号には「短時間使用させる場合」と規定されています。これに対し、夜スペの授業のために、東進ハイスクールが常設の回線を敷設したことは、少なくとも1年間にわたる長期間の占有であり、明確な違法行為です。

 近く判決を迎える和田中夜スペ裁判の公判では、地域本部の副本部長・高木弘子さんが証言し、夜スペを担当していた塾・サピックスが1セット8000円のテキストを学校内で販売していた事実、また、本部長の衛藤寿一さんがかかわる教育ソフト会社からソフトをレンタルして27万円の利益を供与している事実などが明らかになりました。ボランティア活動を隠れ蓑に企業の営利活動がうごめいているのです。

 公立学校なのにこのような状況になってしまったことの責任は一に教育委員会が負うものではないでしょうか。公教育と営利活動の間に一線を引いて守るのが教育委員会、教育長の使命であるはずですが、すべてを把握していながら黙認してきた教育委員会と教育長の意図的な怠慢は容認できません。

 このほか、公共図書館全館の指定管理化、郷土博物館の民営委託化、そして、引き続く学校給食、用務などのさらなる委託など、教育行政にかかわる民営化の推進が盛り込まれていることも問題です。


●外環道事業、区は国・都を追認

松尾ゆりの杉並区議会報告 第四に環境・まちづくりについてです。

 外環道が事業着手となり、善福寺公園はじめ近隣の自然破壊、生活環境破壊を危惧する声が高まっていますが、区は国・都の動きを追認するのみで、全く主体的な姿勢がみられません。放射5号線、三井グラウンド問題でも開発優先のまちづくり姿勢に終始していることは問題です。


●区長による民団攻撃、デマ発言は杉並の恥

 結びにあたって、どうしても触れておかなければならないのは、区長の偏狭な世界観、民族観です。

 区長が、あの田母神氏主催の集会で、民団に対する誹謗中傷発言をしたことを批判した、他の委員からの質疑がありました。事実無根のデマ発言であるにもかかわらず、この発言を訂正しようともせず、開き直り、さらに、このデマ情報を根拠に、外国人参政権を否定する姿は、杉並区の恥としかいいようがありません。

 また、拉致問題を政治的に利用しようとする姿勢も、問題の解決をますます遠ざけるもので許せません。

 外国籍の住民を敵視し、日本国籍の住民との間の対立を煽り立て、いたずらに排外的な感情をあおる一方、対米関係では、全く従属的で、日米軍事同盟の強化をうたう区長には、日本国の尊厳や、民族の誇りなどを語ってほしくありません。

 こうした区長個人のいびつな民族観により、杉並区の政策、とくに教育分野、そして、平和・交流政策が大きくゆがめられたことには強い怒りを覚えます。

 日本がアジアの盟主だなどと、区長が大東亜共栄圏時代の妄想にとらわれている間に、アジアの国々は日本を見捨て、そして抜き去ろうとしています。世界が大きく変動する今日、中国、韓国、北朝鮮など東アジアの国々と平等互恵の関係で共生していかない限り日本の明日はありません。


●多様な民族が相互に尊重し共生できる杉並を

 原水禁運動の発祥の地として平和を希求してきた杉並区、そして、地域の朝鮮学校と交流しながら、多くの在日の皆さんとともに生きてきた私たち杉並区民は、偏狭な区長の民族主義ではなく、多様な民族が、相互に尊重しあって共生していける杉並をこれから築きなおしていきたいと思っています。それこそが、真に誇りある日本、そして杉並のありかたです。この立場から、私たち杉並区議会有志は、超党派で朝鮮学校への高校無償化の適用を求めて政府に要請書を提出しましたことを申し添えます。

 以上の点を踏まえ、議案第22号平成22年度一般会計予算、ほか各会計予算に反対します。

 このほか、先ほどの議案第4号 減税基金条例、第5号 職員定数条例の一部を改正する条例、第9号 国民健康保険条例の一部を改正する条例には反対し、それ以外の関連議案には賛成いたします。

 最後になりますが、今回の予算審議にあたって、多くの職員の皆様が、資料作成にご協力くださり、またご多忙な中、丁寧にご教示くださったことに、心より感謝申し上げ、しめくくりといたします。