松尾ゆり

わくわくレポート104号 2008年7月

物価は上がる、保険料も上がる
ますます暑い夏!

 ある朝、区役所に電話をすると、代表番号が話し中。こんなことあるのだろうか、と思いながらも何度もかけなおしたのですが、結局午後かなり遅い時間までずっと話し中でした。何で!? 実は「後期高齢者医療制度」の保険料通知を受けた区民からの問い合わせや抗議が殺到し、電話がパンクしたのです。

 年金世代はあいつぐ保険料天引きで「年金がなくなっちゃう!」と悲鳴。現役世代も所得は上がらないまま、食品やガソリンの値上げなど、急激な物価上昇とのはさみ撃ちに見舞われています。日々の買い物にも頭を悩ませるようになってきました。しかも政府・与党は「消費税増税」を検討中。「財政再建」の名目で国民生活を犠牲にするのはやめてほしい!

 人間らしく生活していくためにも、政治を転換しなくてはならないといっそう強く感じる今日このごろです。区民の皆さん、ともに声をあげましょう。


介護保険料引き下げを求める
(松尾ゆりの6月議会一般質問より)

●介護保険への満足度が急低下!

 区の行った「高齢者実態調査」などによると、介護保険への満足度が急激に下がった。前回2004年の調査では42%の人が「満足」だったのに対し「不満」の人は15%。ところが、今回は満足30%、不満25%と、ぐっと接近。保険料が高い、負担が大きいという声が多い。サービスが足りない、使えないという声が多い。特に訪問介護(ホームヘルプ)について「制度が変わってから利用制限が厳しくなった」「家族がいるので使えないと言われた」「要支援だからいっしょに作業をしろといわれても、ムリ」など。

●独自サービスをひたすら削る杉並区

 杉並区は介護保険料が高く、サービスが利用しにくくなっている(右上資料参照)と同時に、介護保険以外の区独自の福祉施策を削りに削っています。

 たとえば、介護保険の認定が受けられなかった人のための「生活支援サービス」(ホームヘルプ)は2006年に利用資格が厳しくされ、総利用時間数は前年の 14490.5時間から567時間へと激減、たったの4%になってしまいました。

  松尾ゆり

※上の数字をよく見てください。認定を受ける人は増えていますが、それほど変わりません(認定自体が厳しくなっているため)認定数が微増なのに「訪問介護」の利用数は06年度に大きく落ち込みそのまま減っています。上記の利用制限によります。ヘルプが使えない人が「通所介護」(デイサービス)に流れていますが、デイの利用時間も減らされているため05年の数値まで回復していません。

●介護保険料引き下げを要望する

 介護保険制度見直しにあたり、介護保険料の引き上げを行わないこと。また、特に低所得者に対しては引き下げること。サービス提供をもっと柔軟に行うこと。杉並区独自の介護サービスを充実させることを要望しました。

●「平等はまちがい」という区長

 杉並の福祉が削減されてきた背景には区長の考え方があります。山田区長は予算委員会(3月)の答弁で、
「自由と平等は相反する価値です(中略)人間を無理やり、不平等に生まれてきているものを平等にしようなんていうことをやれば間違いが起きます」と発言しました。人間は不平等であたりまえ、平等を求めるのは間違い、という区長の思想は、憲法に規定された「健康で文化的な最低限度の生活」を否定し、人権を侵害するものです。


「レジ袋税」&「住基ネット」
山田区長の2大政策が撤回された

山田区長といえば「レジ袋税」「住基ネット」というぐらい、全国的にとりあげられて区長を有名にした2つの政策。しかし、どちらも、区長自身の政策転換によって、過去のものになりました。

●「レジ袋税」を廃止

 6月議会では「環境目的税条例」(レジ袋税)を廃止することが決まりました(松尾ゆりは廃止に賛成しました)。レジ袋税は区民の大きな反対の声を押し切って作られたものの、結局実施されることはありませんでした。

●「住基ネット」全面接続へ

 一方の「住基ネット」問題、こちらは区長2回目の選挙直前、全国ネットのニュース番組などに出まくって「住基ネットは危険、杉並区は不参加」と華々しく打ち上げたものです。そのおかげで、区長は選挙に大勝しました。しかし当選直後の2003年6月、区長は「選択制での参加」(横浜方式)に180度方針転換し、翌年裁判に訴えました。訴訟は区の予算から5000万円余りを費やし4年間もかかった末に区の敗訴で終わりました。判決は住基ネットへの参加を命じるものではないにも関わらず、区は裁判に負けたことを理由に「住基ネット全面接続」方針を発表しました。

●選挙めあてのパフォーマンス

 「レジ袋税」も「住基ネット」も発案は華々しく、撤退はコソコソと行われたので、2つの政策の末路をご存じない方も多いでしょう。区民の前に自らの政策転換を堂々と説明できない区長、信念からではなく選挙めあてのパフォーマンスにすぎなかったと言われても反論できません。


「夜スペ」の和田中地域本部の会計は問題
(松尾ゆりの6月議会一般質問より)

 「夜スペ」で有名になった和田中の「地域本部」の事業「ドテラ」などの参加費は年間合計1500万円にものぼり、区や国の補助金、企業などからの寄付金もあり、合計2000~3000万円のお金が出入りしていると思われます。しかし、「地域本部」という口座があるわけではなく、これらは個人の名義で管理されている可能性が高いうえに、「地域本部」には監査もおいていないし、決算報告も出していません。これでは夜間塾などの事業を担うのは無理だし、学校支援本部の事業としては不適切です。「夜スペ」事業はいったん中止し、塾の手を借りなければいけないのかどうかを、一からきちんと議論すべきと指摘しました。


元PTA会長16名がアピール発表

 和田中のPTA協議会離脱に関して区内のPTA会長経験者16名がPTAに関するアピールを発表。その後、区と懇談しました。元会長さんたちからは「学校支援本部を全校に作るというがPTAには負担感が強い」「和田中以外でもPTAをなくすのか」などの質問が出されました。


杉並病は終わらない

 7月6日に「杉並病をなくす市民連絡会」の健康調査報告集会がありました。会では「新しく引っ越してきた人たちが、井草にきてから症状が始まった、と何人も回答しており、杉並病被害はいまだ続いている」ということ。そして「中継所が廃止されても杉並病の解決に直結しない。健康調査、原因究明、被害者の救済・治療などが行われないかぎり杉並病は終わらない」ということ、またプラスチック・リサイクルの広がりによって、各地で第二、第三の杉並病が発生していることが指摘されました。大阪府寝屋川市での被害は「寝屋川病」とよばれるようになり、改めてプラスチック公害の原点である杉並病が注目されています。

 杉並区は中継所を今年度中(2009年3月まで)に廃止する計画ですが、それで杉並病がなくなり、解決するわ けではないのです。


築地市場移転反対で2000人がデモ

 オリンピックを口実に「世界の台所」築地市場を江東区豊洲に移転するという石原都知事。しかし移転先はシアン(青酸)、ベンゼンなど高濃度の有害物質に汚染されています。知事の目的は湾岸大規模開発。安全をその犠牲にしてはなりません。「豊洲に移転したら仕入れにいけないから店を閉めるよ」とは阿佐谷の魚屋さんの言葉。「築地」と私たちの食文化を守りましょう!


ゆり発  善福寺池の下に高速道路とは

 外郭環状道の問題がクローズアップされてきました。善福寺公園や井草八幡のすぐそばを通り、インターチェンジも建設されて環境への影響が甚大なため、杉並区では区長名で質問書を出していますが、解決策はいまだ示されません。

 また、外環道本線は地下50mに建設されるので地上部には影響がないと説明されてきましたが、ここへきて、同じ路線の地上部(外環の2)も建設されることがわかりました。

 都と国は「地域PI」という会合を形だけ開いて区民の意見をきいたことにしてしまいたいようです。貴重な緑と水を守るため、区民のみなさんが注目してくださるようお願いします。