松尾ゆり

わくわくレポート149号 2012年9月

尖閣諸島めぐる対立を超えて

 尖閣諸島をめぐり、日中の対立が激化しました。中国のデモを見て心穏やかでいられる人は少ないでしょう。 ちょうど今行われている自民党の総裁選では「民主党政権が日米同盟の弱体化をもたらしたことの結果だ」「自民党が再度政権について日米同盟の強化を」という見当はずれの主張を競って繰り返しています。

 事実はそれどころか、むしろ、自民党時代から、そして民主党政権になっても対米従属の政治を続けてきたからこそ、自立して毅然と外交を行うことができず、トラブルが絶えないのではないでしょうか。

 日本の一部の政治家たち(例えば今回の事態のタネをまいた石原慎太郎都知事など)は領土問題で勇ましい発言をしますが、解決のための交渉に汗をかこうとはしません。彼らの狙いは、領土問題の解決ではさらさらなく、日中両国民が敵対するようしむけることでしかないのです。

 8月、香港の活動家らの尖閣諸島上陸に対抗するように、杉並区議会議員を含む日本人の右翼活動家らが上陸しました。わざわざ中国と同じ土俵に降りていくようなもので、これほど愚かな行為はありません。

 杉並区議会が開会中ですが、この区議に対する処分は今のところ下されていないようです。厳正な処分を求めたいものです。

消費税引き上げ、どんな影響が?

杉並わくわく会議・松尾ゆりは、消費税についてのアンケートを皆さんにお願いしています。まだ調査中ですが、特徴は「消費税は反対」という方が圧倒的に多いことです。 商店街でお話を聞くと「仕入れにかかる消費税を転嫁することができない」「納税がとても負担」「消費税が引き上げられれば、売り上げや利益が減る」というところも多かったです。以下、商店街で聞き書きしたお話を一部紹介します。

「消費税引き上げ困る!」

「売り上げへの影響」

「価格転嫁する/できない」

松尾ゆり

空き教室から始まった福祉

 杉並わくわく会議では「地域でかがやく~空き教室から始まった福祉~」と題し、NPO法人「ももの会」代表理事・大井妙子さんのお話をうかがいました。

 介護保険制度が始まった2000年、杉並区が学校の空き教室でデイサービス事業を開始、「NPOに期待する。地域のつながりをつくり、質の高い福祉を提供してほしい」とよびかけて始まった事業でした。学校の中にあるため、子どもたちとの交流には最優先で取り組んできたそうです。

 地域を変えていくこと、人と人とのつながりを大事にすることが「ももの会」の中心にあります。年間のべ1200人もの多芸多才な地域ボランティアの方々とのつながりがそれを証明しています。「お年寄りが孤立していること、文化や食事の中身が低いことに憤りを覚えた」という大井さん。きれいごとではなく、理想のために奮闘する日々の様子をお聞きして、市民運動の原点を感じました。