松尾ゆり

わくわくレポート153号 2013年4月

「オール沖縄」で基地問題に挑む

 4月末、政府は沖縄県に対して普天間基地の辺野古移設のための埋め立て申請書を提出しました。県への通知はたった5分前。職員がこそこそと書類を運び込むという抜き打ち的な姑息なやり方。これに対して、地元名護市では5日、1300人が集まって申請の撤回を求める集会が開かれました。

 日米間で合意した嘉手納以南の米軍施設返還計画に対しても沖縄で評価する声は少なく、仲井真知事は「普天間は県外移設との主張は変えていない」と述べています。

 他方、政府は4月28日を「主権回復の日」として式典を開催して祝うとしていますが、沖縄県議会は「沖縄が切り捨てられた屈辱の日だ」とする抗議文を決議しました。

 沖縄ではいま、自民党から共産党まで「オール沖縄」で基地問題の解決を求める県民運動となっています。基地問題、安保問題は、沖縄だけの問題ではありません。日本全体が対米従属をやめ、根本的に解決しなくてはなりません。

「認可」保育園をもっと

 保育園に入れない保護者の皆さんが行政に対して異議申し立てをする運動が杉並区から始まり、各地に広がっています。それに対し、杉並区も緊急対策を発表しましたが、待機児を解消するめどはたっていません。

 この運動が「認可に入れてほしい」ということを掲げている点は注目に値いします。保護者の立場からすれば当たり前で、認可保育園に入ってやっと「これで安心」と思えます。いうまでもありませんが、人員、面積、設備などが、子どもを保育するにふさわしいレベルに達しているからです(しかし、それも「最低基準」でしかなく、レベルアップが求められています)。

 田中区長が保護者らに対して「認可保育所一辺倒は時代遅れ」と発言したとのことですが(新聞報道)、杉並区は「区立認可は建てない」方針だそうです(計画されている認可はすべて民間でということ)。

 東京都は認可外の「スマート保育」(略して「スマホ」だとか)制度を新設、田中区長は真っ先に手を挙げました。この「スマホ」、空き家や空き店舗を活用して小規模保育をするというのですが、規格や配置基準などはいまだに不明です。

 認可外施設ばかり増やして小手先で誤魔化すのではなく「必要なのは認可保育園」という保護者の声を、国も都も区も真剣に聞いてほしいと思います。

 

※待機児童数のトリック

 待機児童数として発表される数は、特に都市部では実態と大きくかけはなれています。それは数え方のトリックです。2003年から厚労省が基準を変え、認可に希望を出していても認可外施設(自治体が何らかの補助をしている場合)に入っている場合はカウントしなくなったのです。

 たとえば、杉並区ではある年「待機児ゼロ」と麗々しく発表しましたが、実は認可外施設で待機している人が多数いました。ところが「ゼロ」を信じて杉並区に転入する人が相次ぎ、ますます厳しくなるという結果を呼んでしまいました。「待機児ゼロ」と注目される横浜市も、独自の認可外施設「横浜保育室」などを増設してつじつまを合わせているものです。

生活保護削減、最前線では?

 政府が生活保護の削減を決めました。杉並わくわく会議では、生活保護について、福祉事務所の相談員の方から現状を聞き話し合いました。

 講師からは…

 …などのお話。

 施設で働く方からは「テレビで不正受給や過剰診療などとやっているが、初めから視聴者の溜飲を下げるような企画が決まっており、それにあてはめている感じ。現場で出会う生活保護の方はみんな、ひけめを感じながら慎ましく暮らしている」との発言。

 障害があり生活保護を受給している方からは「きりつめていても生活は厳しく、コンビニのお弁当も我慢している」とのお話でした。生活保護へのマスコミのバッシングがいかに誇張されたものかを感じました。