松尾ゆり
わくわくの日々

杉並の保育園なんとかしなくちゃ!

●2010-11-26

杉並の保育園なんとかしなくちゃ!

 10月24日「どうなる?どうする?保育園!?」のタイトルで、講演会が開かれました。講師は「保育園を考える親の会」代表の普光院亜紀さん。私は司会&杉並ローカル保育情報を担当しました。

 杉並の保育園なんとかしなくちゃ! 普光院さんのお話は、待機児問題の現状と国の政策の動向が主なテーマでした。まず待機児童数。今年4月全国で2万6000人が待機、といわれますが、これは「新定義」【注】による数字です。

 「保育園を考える親の会」が毎年行っている保育サービスに関する調査「100都市保育力充実度チェック」での集計によれば、数字が回答された72市区だけで4万3000人が「認可保育園に入れない」待機児(旧定義)であり、申し込んだ人の約3分の1が「待機」になってしまっています。全国を集計すれば、もっととんでもない数になると思われます。「求められているのは認可保育園なんですよ」と普光院さん。ちなみに、杉並区でも今年4月の申し込みでは656人が待機(旧定義)となり、やはり約3分の1です。ちまたに流布している「杉並区の待機児童は23名で23区最少」はあくまで「新定義」によるものです。


【注】【待機児童数の定義】
 児童福祉法第24条には市町村が「保育に欠ける児童を保育所において保育」する義務を明記しています。なので、従来厚労省は保育所、つまり認可保育園にはいれない子どもを「待機児」としてカウントしてきました。これを「旧定義」と呼びます。これに対して、2001年から無認可の保育施設なども含めて預けている人はカウントしなくなりました。これが「新定義」です。
 認可保育園に入れない人は、認証保育園(東京都の制度)、保育ママ、あるいは無認可の保育施設などに預けて、なんとか仕事を続けています。しかし、これらの施設は認可に比べて、保育料が高く、しかも収入にかかわらず一律です。そのうえ、保育の質もやはり認可よりは劣る部分が出てきます。



杉並の保育園なんとかしなくちゃ!

 参加者の中で認証保育園に預けているという保護者の方からは「認証では園庭がないために、外遊びは公園にいくしかない。どうしても運動量が少なく「運動会」といっても、室内でびっくりした。園の先生方はいい方だけれど、このまま入学まで運動をしないと、認可や幼稚園の子たちと学校で格差がついてしまうのではと心配。こういう格差だけでもなんとかならないでしょうか」との発言がありました。

 「保育の質」は保育園の民営化のときなどにも議論になることですが、客観的にはかることはなかなか難しいです。結局、空間の広さとか、給食の作り方や食材、保育士など職員の配置状況などを一定レベルに保つしかありません。普光院さんが参加された厚労省の「機能面に着目した保育所の環境・空間に関わる研究事業」では、実際に多くの保育園の保育室などを計測し、外国の例なども確認して、いまの「最低基準」の引き上げを提言しています。しかし、国は逆に、むしろ規制緩和のほうに進んでいることが心配です。「給食の外部搬入可という規制緩和が行われましたが、保育園の調理室文化って貴重なものですよね。守りたいです」と普光院さん。

杉並の保育園なんとかしなくちゃ!
次に、国の「子ども・子育て新システム」など保育改革についてのお話

 問題になりそうなポイントとして「園と保護者の直接契約」「幼保一元化」「財源の確保」「多様な事業主体(株式会社など営利企業)の参入」をあげられました。会場からも「直接契約になれば保育園を選べるというけど、逆に園が子どもを選ぶようになると思う。アトピーの子など手がかかると思われた子は、保育園に入れてもらえなくなるのでは」「保育園は足りなくて幼稚園は余っているから一緒にしてしまえというのは、数字でしか見ていない。乱暴すぎる」の声があがりました。

 杉並区では長くつづいた「認可保育園はもう建てない」の方針を転換し、認可も増やし始めました。しかし、もっとスピードをあげてとりくむ必要があります。これから署名運動などを行い、安心して預けられる認可保育園を大量に増やすよう、区に求めていきたいと思います。