松尾ゆり

わくわくレポート 173号 2015年10月

決算の認定に反対しました 
~区民生活は厳しくなった 公的サービスの削減に反対~


杉並区議会第三回定例会が終わりました。
松尾ゆりは決算特別委員会で決算の認定に反対しました。(以下は意見の要旨)

●区政の役割は区民の生活・営業の支援

 昨年は消費税率が引き上げられ、アベノミクスによる物価上昇とともに区民生活は厳しくなった。こうした時、区政は公的サービス、公的施設で区民の生活・営業を支えるべきである。

●区民の声を無視して進められる施設再編

 ところが、施設再編整備計画(*1)で児童館、ゆうゆう館、科学館、あんさんぶる荻窪など廃止・統合計画が進められている。区は議会答弁で「十分説明した」などと言うが、反対意見は無視されたままである。

*1:杉並区は昨年「施設再編整備計画」を策定、児童館全館と科学館の廃止、ゆうゆう館の統廃合など、区立施設の大幅削減を進めている。

●あんさんぶる荻窪財産交換に疑問の声

 あんさんぶる荻窪と荻窪税務署の財産交換(*2)に対する疑問の声が広がっている。昨年夏に出された荻窪7町会長連名の桃二小早期建て替えの要望書(*3)は、区職員が作成に関与していたことを区も認めた。

 また、あんさんぶるの荻窪北児童館が廃止される(*4)ことがわかり、荻窪南口では商店街のアーチに「子どもの居場所を守ろう」と横断幕が張られるなど、住民の反対の声が高まっている。 荻窪北児童館だけでなく、区立児童館がすべて廃止される計画となっていることなど問題が多く、計画の見直しが必要である。

*2:一昨年、田中区長が麻生財務大臣と財産交換を進めることで合意。荻窪駅前の一等地にあり、築10年とまだ新しい「あんさんぶる荻窪」を手放す無駄に加え、「あんさんぶる」にかわる新しい施設を30億円以上かけて新築、さらに学童クラブ移設のために桃二小の新築にも30億円以上かかる浪費となる。
*3:荻窪南口の町会長さんたちには「あんさんぶるがなくなっても、桃二小を改築して児童館をまるごと移設する」と説明されていたため、「早期改築を」との要望書が出された。しかし、その後、「児童館のまるごと移設」は虚偽だったことが判明、2町会が要望を取り下げた。
*4:児童館の機能のうち、学童クラブは桃二小に、乳幼児事業は保健所に移設され、他は廃止される計画。

●事業の削減、人員の削減

 区民のニーズに応える事業の発展よりも、事業の削減、人員の削減が優先され、浮いたお金は施設の無用なスクラップアンドビルドに使われており、本当に効率的な行政を実現するためのものになっていない。  この他、各分野の行き過ぎた民営化、また、区民負担の増加、区独自の福祉サービスの削減などについても問題は大きいと考え、決算の認定に反対する。

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杉並区の図書館を考える

 世間を騒がせている「ツタヤ図書館」。佐賀県武 雄市でツタヤの店舗と有料のカフェを併設した図書館がつくられ、話題を呼んできましたが、郷土資料室の廃止、ツタヤのカードによる貸し出し履歴の管理など当初から問題点が指摘されてきました。最近ではツタヤで売れ残った本を買い取ったとおぼしき購入履歴も明らかになり、愛知県小牧市では住民投票の結果、ツタヤ図書館が白紙に戻りました。ツタヤ問題は私たちに「図書館に求められるものは何か」という問いを投げかけました。

 私は、この夏、南相馬市立中央図書館と武蔵野市の「武蔵野プレイス」を訪ねました。どちらも有名な新しい図書館で、随所に椅子が置かれ、居心地のよい空間設計が共通していました。杉並区は今後、中央図書館の全面改修を予定しています。地域館も順次建て替え時期を迎えます。杉並の図書館ももっといい図書館になってほしいと思い一般質問を行いました。

<以下質問要旨>

●杉並区には図書館協議会など区民の知恵を集めて作られた「図書館サービス基本方針」がある。「学びの場」「知の共同体」「楽しい交流空間」の3つの柱にそって、文教地区杉並らしい中央図書館をつくってほしい。

●杉並区は約240万冊の資料(23区1位)を保有しているが、「施設再編整備計画」では図書館の容積縮小がうたわれている。逆にスペースの確保を追求すべきではないか。

●中央図書館の改修、地域館の改築、高円寺地域の新館などが予定されており、今の図書館の職員体制では不十分。また、設計は図書館に精通した設計者と連携して思い切ったリノベーションを行うよう求める

●経済格差が広がる中、公共図書館の役割はいっそう重要。

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区議会トピックス(杉一小高層化、科学館廃止など)

●保育園の民間委託

 下高井戸保育園の指定管理者(委託先)が決定されました(松尾ゆりは指定管理の契約に反対)。区立保育園が次々に民間委託されています。民間委託の園では、経験の少ない、専門性の低い職員が増えた、保護者の相談に十分こたえられないなどの苦情が寄せられています。限られた人件費の中で、職員を長く雇い続けることが難しいという構造的な問題があり、保育の質の低下に直結します。

●とめどない区役所の業務委託

 区はいま、国保年金課の業務委託にむけて進んでいます。さらに先日の議会では介護保険課の業務委託にむけての調査予算が認められました(松尾ゆりは調査費用を含む補正予算に反対)。区役所の業務の効率化は進めるべきですが、国保、年金、介護保険など区民の個人情報を取り扱う部門をほぼ全面的に民間委託することの危険性とあわせ、区役所で働く人の非正規化で、不安定雇用・低賃金化がいっそう進む心配があります。

●杉一小の複合施設化と産業商工会館

 区は杉一小の改築時に阿佐谷地域区民センターと産業商工会館と併せた複合施設とする計画です。杉一小は敷地が狭く、3つの施設を併せると高層化せざるをえません。区からは9階建て、7階建てなどの案が示されています。
 一方、産業商工会館は耐震性確保のため2・3階を削って1階建てにするための工事が始まります。いずれ杉一小に移るといいますが、跡地の利用は決まっておらず、場当たり的な計画です(松尾ゆりは工事の予算を含む補正予算等に反対)。

●科学館の廃止について

 多くの反対の声が区に提出されているにもかかわらず、区立科学館は今年春、実質閉鎖されました。来春廃止の予定となっています。しかし、科学館も廃止後の跡地利用は未定です。「新しい科学の拠点」という言葉だけが踊っていますが、どこにどのようなものができるのか、全く決まっていません。
 杉並区独自のすぐれた教育施設である科学館を何の目算もないまま廃止してしまうのは、杉並の文化を壊してしまうことです(決算委員会で質問しました)。

●区民センターの待遇

 7つの区民センターはすべて運営を民間委託しています。以前直営だったときには、受付などで働く人たちの賃金はもちろん均一でした。しかし今は、委託事業者によって賃金格差が生じています。パートでは時給が最低賃金(東京都は907円)のところが多く、しかも夜間の時給まで最低賃金となるケースが出てきています。杉並区の顔ともいえる区民センターの受付さんの時給が最低賃金とは恥ずかしいことです(決算委員会で質問しました)。

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安保法制成立、そしてTPP

 国会で安保関連法案が成立しました。昨年7月に「集団的自衛権行使容認」を閣議決定し、今年4月には安倍首相が訪米して「関連法案は夏までに成立させる」と約束しており、国民の反対意見を無視、国会のルールさえも踏みにじって「可決したことにした」法律です。
 続いて、10月初めには「TPP交渉が大筋合意に達した」と報じられました。外国の報道に「大筋合意」の言葉はないこと、また、各国の国内事情(カナダの政権交代、米議会事情など)により合意への道のりは遠いことが明らかになりました。しかし、日米二国間協議で、日本政府はすでに関税引き下げなど大幅譲歩してしまっているのが実態です。
 政府のこの間の動きは、国民の安全と利益よりもアメリカの要望に応えることを優先したものです。日本が真に独立することが求められます。

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