松尾ゆり
わくわくの日々

文教委員会
区立図書館6館の指定管理に反対しました

●2015-12-04

 11月30日に開かれた杉並区議会文教委員会では、科学館の廃止、区立6図書館の指定管理、および高円寺地域小中一貫校(高円寺中、杉四小、杉八小統合)反対の陳情などが審議されました。私は科学館の廃止、図書館の指定管理などに反対、陳情は採択すべきとの意見を述べました。関連する質疑とともに掲載します。

図書館の指定管理について

◎指定管理の図書館の割合は

(松尾)
  現在指定管理者を導入している図書館がどれくらいあるか。今朝も新聞に見開きで図書館の指定管理の記事が出ており、それによると全国3200館のうち400館以上が指定管理になっているという記事があった。23区の場合には、どのくらいの区が導入しているか。

(中央図書館次長)
  228館のうち直営が91、委託が35、指定管理が100。

(松尾)
  けっこう指定管理が多い。全国でみると15%くらいだが東京では半分くらい。都市部は受託者のメリットもあるのかと思う。ところで、今回の選定に関して、今回2社ずつの応札だったということだが、受託した3社以外にも応札した会社はあるか。

(中央図書館次長)
  全部で6社でうち3社に決定。

◎図書の選定、購入は

(松尾)
  選書のありかた、購入のありかたはどうなているか。指定管理で違っているところがあるのか。

(中央図書館次長)
  選書は、毎週中央図書館で選定会を開き、どういう図書を収集するか、指定管理館の担当者も含めて決定している。

(松尾)
  購入先等は、特殊な本に関しては、とか、組合に対してとか、配慮、これまでの経緯などもあると思うが。

(中央図書館次長)
  東京都書店商業組合杉並支部、図書流通センターほか。

(松尾)
  購入先によっての分担などはどうか。

(中央図書館次長)
  みはからい本は書店組合杉並支部から購入している。

◎指定管理の待遇、時給は

(松尾)
  雇用の問題、待遇の問題について。働いている人の待遇、時給、給料などは把握しているか。いくらぐらいか。

(中央図書館次長)
  個別には把握していない。労働法令順守、最低賃金以上であるかはチェックしている。

(松尾)
  ネットで調べて、今回の3つの企業についての求人情報を見たところ、910円、920円、930円と出ていた。最低賃金が907円で、もちろん法令は守っているわけだが、専門性の必要な業務でもあり、人材確保という面からすると安い。知り合いの息子さんが、指定管理の会社に入り杉並の図書館で働いていたが、業務が多いわりに賃金が安く、自立して生活することが難しい。会社のほうから雇用を切らなくても、もうちょっと待遇のいい職場に変わるとか、せっかくの人材が流出してしまうということもあるのではないか。そういった点について、選定にあたって事業者との間にコミュニケーションがあったのか。

(中央図書館次長)
  提案のなかで、雇用状況についても、長期的雇用の提案内容をいただいている。

◎◎図書館の指定管理に反対する意見◎◎

 これまでにもいろんなところで述べてまいりましたが、図書館の民間委託、指定管理は本来望ましくないと考えています。また、本来専門職として遇されるべき、図書館の職員が先ほど申しましたような低賃金で図書館が官製ワーキングプアを生み出しているという点にも大変大きな問題があると考えます。

 今回議題として提出された6館について指定管理を導入された際には図書館協議会、区民、利用者、および職員組合から強い懸念が示されたことを覚えていらっしゃると思います。

 国においては、かつて文科大臣が国会において、「公立図書館への指定管理者の導入は長期的視野にたった運営が難しくなり、なじまない」と答弁をして、また、国会の付帯決議において「指定管理者の導入による弊害について十分に配慮して適切な管理運営体制の構築をめざすこと」などと述べられた経緯もあります。また、2010年には、当時の片山総務相が指定管理についての通達を出しまして、このことについて「公共図書館、学校図書館は指定管理にはなじまない」という発言をされています。片山さんは鳥取県知事として先進的な図書館改革を行ってきた方です。

 他の自治体においても、東京都は例外として、全国的に見れば、指定管理というのはまだ少数派であって直営が圧倒的に多いと思います。23区においても、直営非常勤という形で司書採用を行ってきた荒川区の例ですとか、また、私どもが視察でうかがった、たとえば福山市の図書館も直営ということで多数の司書採用を行っているとうかがいました。杉並区も、私は非常勤が望ましいとは思いませんが、なんらかの形で司書採用を行って図書館のエキスパートを採用するように望みます。

 図書館は無料の貸本屋になってはいけないといわれます。経済的に現在、大変厳しく格差と貧困が問題になっている中で、市民の情報の拠点としての図書館をどう構築していくか、自治体の鼎の軽重が問われます。

 現在の指定管理の館、どの館も大変がんばっておられ、好評であるということについては、私も把握しております。しかし、今後、図書館サービス基本方針にそって、進化する図書館、図書館の進化を目指して新たな地平に、ワンランク上の杉並の図書館を築いていくためには、やはり公共の事業としての図書館が軸になっていくと思いますし、そのためには、民間の事業者さんにゆだねるのではなく、区が直営で行っていくことが望ましいと考え、今回の3議案には反対とさせていただきます。

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