
上井草保育園の民営化/児童館は施設あっての事業
●2016-10-09
(2016年10月6日杉並区議会決算特別委員会3ブロックの質疑)
決算第3ブロックでは、児童館の廃止問題を中心に質疑しました。
杉並区は2013年に「児童館を廃止する」という施設再編方針を打ち出しましたが、区民特に乳幼児のお母さんたちから強い反発があり、続く11月の見直し案では「廃止」の言葉を隠して「継承・発展」と言い換えた経緯があります。児童館を廃止して「子ども・子育てプラザ」(乳幼児親子むけ)と「放課後等居場所事業」(小学生向け。小学校内で行う)及び「学童クラブ」(小学校内に移転)のそれぞれで機能を継承するので児童館と同等かそれ以上のサービスが保障できると強弁してきました。
杉並区議会でも一部の議員が「廃止の方針は変更された。廃止するというのはデマ」といった発言を繰り返していますが、児童館という施設がなくなれば事業もなくなるのです。そのことを自分なりに調べて質問しました。
参照した文献は、
・児童館ガイドライン(厚生労働省、2011年3月)
・解説レポート「児童館ガイドライン」を読み解くために(阿南健太郎、2011年11月)
・児童館とは?(児童健全育成推進財団ホームページ)などです。
「児童館とは?」では「子どもの人格的発達を促す」ため遊びを通じて「自主性・社会性・創造性」を身に着け「自立」に至るという記述に、児童館という事業の志の高さを感じます。児童館は、子どもたちに遊びを保障します。遊びは、子どもの人格的発達を促す上で欠かすことのできない要素であり、遊びのもつ教育効果は他で補うことができないと言われています。子どもたちは遊びを通して考え、決断し、行動し、責任をもつという自主性・社会性・創造性を身につけます。換言すれば、教育の中でも注目されている「自立」の要素が、遊びの要素に含まれているのです。(児童健全育成推進財団「児童館とは?」より「児童館の役割」)
杉並区はこれまで小学生が歩いていける距離にきめこまかく児童館を整備し、そこには上記のような志と理念があったはずです。しかし、いっさいの議論を抜きにして、ただ建物を壊して建てる(スクラップアンドビルド)「施設再編整備計画」のなかで、このような子どもの育成は全く考慮されていません。この行政の堕落を、どう是正していくのかと考えると頭を抱えてしまいます。
(以下は質疑要旨)
★ 上井草保育園の廃止について
(松尾)民営化に至る経緯は?
(高沢保育施設担当課長)地権者から買い取りの申し出があった。保育需要の増加、複数の施設との複合施設を視野に、平成20年4月に区が土地を取得。買い取りのときには複合施設を検討してきたが、最終的には待機児童の状況から保育単独で200名規模の認可保育所を整備するということで決定した。
(松尾)当初の複合施設の計画が不調だったようにうかがっている。説明会を含む今後のスケジュールは?
(高沢保育施設担当課長)これからただちに保護者説明を丁寧に行う。そのあと公募して、ただちに工事に入り実質的に30年3月開設。
(松尾)公募の時期は?
(高沢保育施設担当課長)10月末ないし11月の頭。
(松尾)今後説明を行って保護者が納得するまで事業者については見切り発車ということのないように。
(高沢保育施設担当課長)これから保護者への説明を開始するので、なんとかご理解いただけるようスケジュールにそって進めたい。
★ 児童館の機能
(松尾)児童館ガイドラインにあるように、児童館には遊びを中心として多種多様な機能がある。杉並区の児童館ではこれらの機能、活動内容が実施されているか?
(藤山児童青少年課長)児童館条例の中で記されたとおり。
(松尾)児童館条例のうち(7)各種講座の開設、クラブ活動と(8)児童の自主活動についての支援はどのように行われているか?
(藤山児童青少年課長)各児童館でさまざま。絵画、ゲームのサークル活動。卓球講座、工作の講座など。
★ 子どもプラザでの小学生対応は限定的
(松尾)これらが再編によってどうなるか。「子ども・子育てプラザ和泉」で誰が担うか、また活動場所はどうなるか?
(藤山児童青少年課長)児童館の機能の移転ということで、放課後等居場所事業を学校の中でやるという部分、子ども・子育てプラザでやる部分がある。サークル活動、クラブ活動についてもできる部分はやっていきたい。
(松尾)プラザでは小学生のグループ活動やプログラムはできるか?
(藤山児童青少年課長)主に乳幼児親子の支援施設だが、そういった主機能を阻害しない中で小学生の活動についても支援してまいりたい。
(松尾)乳幼児中心の施設ということで、これまでの児童館とはかなり小学生の対応は違ってくると確認する。
★ 小学校内の放課後等居場所事業は民間委託も
(松尾)放課後等居場所事業について。当面は職員さんが行うということか?
(藤山児童青少年課長)いま、来年度の本格実施にむけてさまざま体制などを詰めている。基本的にはプラザの職員が担い、必要に応じて民間の力を借りる場合もある。
(松尾)民間とはボランティアの方とか学校支援本部か、民間の会社に委託することもありうるのか?
(藤山児童青少年課長)両面含めてさまざま検討している。
★ 学校の施設を自由に使えるか
(松尾)児童館では遊戯室、図書室、図工室など、毎日子どもは自由に使えるが、学校内の居場所事業では、体育館、図書室、図工室などが毎日すべて自由に使えるか?
(藤山児童青少年課長)学校の諸事情の中で。必ずしも部屋が使えないから工作ができないとか、音楽ができないということではない。所定の部屋を設けて、様々な子どもの活動を行う。
★ 児童館は「廃止」の方針
(松尾)3年前の施設再編整備計画、最初の「中間まとめ」については児童館の再編についてどのように書いてあったか?
(福原施設再編整備担当課長)「これらの状況等を踏まえ、現在の児童館としての施設は廃止し、これまで児童館が担ってきた子育て支援に関する機能や役割は新たな子育て支援施設等で再編します」。
(松尾)実際に定められた計画とは、どこが変わったか?
(福原施設再編整備担当課長)大きな部分としては「廃止」ではなくて「機能の継承」という部分。
(松尾)先日説明会の中で担当課長は「施設としての児童館は段階的にはなくなっていく」と回答していたが?
(藤山児童青少年課長)ハードという部分での施設については、児童館についてはなくなっていくと、そう説明申し上げた。
(松尾)機能移転をして施設を廃止していくという全体の計画としては、変わっていないということを確認する。
★ 施設がなければ児童館事業はできない
(松尾)施設再編整備計画改定案の67頁の「児童館の主な4つの事業」とは?
(藤山児童青少年課長)乳幼児親子の居場所、小学生の放課後等居場所、学童クラブ、中高生の居場所。
(松尾)次に、区のホームページの児童館の項目「児童館ではこんなことをしています」では?
(藤山児童青少年課長)乳幼児親子のゆうキッズ、子どもの自主活動の応援、さまざまな体験プログラム、障害者の子どもといっしょに楽しむプログラム、中高生むけの自主企画、子育ての悩みや困ったことなど相談、地域子育てネットワーク事業など。
(松尾)さきほどの「小学生の放課後等居場所」がここにはないが、それはなぜか?
(藤山児童青少年課長)児童館が本来行うべきということで、特にはとりあげてない。
(松尾)そうだと思う。言わずもがな、というか、誰でも放課後にも限らずいつでも来られる場所だというのが前提にあり、わざわざ書いてない。児童厚生施設は児童館のほかに何があるか?
(藤山児童青少年課長)児童遊園。
(松尾)児童遊園の施設が仮に廃止された場合に何が残るのか。機能を移転して継承するようなことが児童遊園の場合できるか?
(藤山児童青少年課長)本来は児童館の遊び場として児童遊園が出来てきたというような経緯があるが、機能をどこかに移転をそもそも想定しているものなのかについて、特に考えはもっていない。
(松尾)児童遊園、児童館、考え方は同じ。児童館も施設がなくなれば基本的な機能が失われることを指摘する。
★ 下井草児童館の廃止について
(松尾)向井公園がなくなり、隣の下井草児童館まで廃止される。先に「保育園に入れない子のために公園を譲ってください」という手紙が小学生たちに配られたが、今度は「プラザができるので赤ちゃんのために譲って」という話になるのか? 区長は昨日も「譲り合い」という言ったが、下井草の子どもたちは譲ることばかり。私は、この下井草児童館の廃止については反対。
(藤山児童青少年課長)児童館再編を全体の中で、児童館をプラザ化する。学童クラブは拡大してしっかり大きいものをつくっていく、放課後等居場所事業を実施していく、プラザをつくるということで、決して子どもの居場所が全体としてなくなっていくということではない。地域の方にはそういった主旨で説明し、そうご理解いただきたい。

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